第44話:残り126日

 私にとって「東京」は幸せの概念なので、「東京帰りたい」は「幸せになりたい」と80%くらい重なるところがある。ということで今私は、「東京帰りたい」です。

 友達が結婚したと聞いた。めでたい。非常にめでたい。めでたいからお祝いする。お祝いしたい。のに、100%心から喜べない出来ない自分がとても嫌だ。こういう時は思いっきり一緒に喜びたいのに、自分の心の中の仄暗い部分を無視することができない。

 周りの心身をやられた女の子たちは、面白いくらい綺麗に全員結婚していった。彼女たちと私と、何が違ったんだろう。これ以上、何をどう頑張れば、私も誰かにそこまで思ってもらえるんだろう。出来る範囲で頑張って生きてるのに、どうして私だけがひとりぼっちなんだろう。まあ私、どれだけ努力したところで不細工だもんな。頭も悪いし性格も悪いし。会話も下手くそだし卑屈だし。魅力なんてないもん。わかってるもん。

 でもさ神様、少しくらいさ、もう少し、優しくしてくれないかな。だめかな。一人で生きていくモチベーション捻り出して毎日生活するの、結構しんどいからさ。婚約破棄も辛かったけどなんとか今こうして頑張って生きてるじゃないですか私。だからさ、今度は死にたいなんて言わないから、どうにか一緒に生きていってくれる人と出会わせてもらえませんか。代わりに何を差し出したらいいですか。

 これは完全に私の中の問題で、結婚した友達には何にも関係ないんだ。だから余計に、その子の結婚を100%で祝えない自分がすごく嫌で、惨めで、辛い。ごめん。いいじゃん、友達が幸せになって何がいけないんだ。喜ばしいことじゃないか。何も辛くなる要素なんてない。ないんだよ。

 

 微熱がある。泣き過ぎたせいで頭が痛いのか、単純に体調不良から来る頭痛なのか分からないけれど、頭ががんがんする。移動の自粛なんか気にしないで東京帰りたい。ずっと東京にいたい。私ばっかりが不幸だって思ってしまう癖をやめたい。誰かと一緒に暮らしたい。醜い自分をぶっ殺したい気持ちでいっぱいだ。簡単に生まれ変われたらいいのにね。