第29話:残り153日

 朝、どうしても仕事に行きたくなくて、人に何か言われるのも嫌で、それでも仕事に行って、仕事ぶりを褒められても嬉しくなくて、泣きそうになりながら帰宅して、よく分からないけどつらくて寂しくて悲しくて泣いている。

 元婚約者のオンラインカウンセリングに付き合って、これまで2回、カウンセラーと私と元婚約者の3人で話した。ボランティアのつもりで、相手の今後の人生を考えれば言語化の練習をしたほうがいいことは確かだから社会貢献のつもりで付き合ったけれど、辛いことを強制的に思い出させられるのは思った以上に辛かった。昨日2回目が終わって、カウンセラーさんから「来週もよろしく」って言われてその時は「はい」って引き受けたけど、だんだん「なんで私ばっかりこんな辛い思いしなきゃなんだ」って耐えられなくなって、断らせてほしいと元婚約者に伝えた。

 みんな勝手なことばっかり言う。そんな奴とは早く関係を断ち切れとか、電子データ削除しろとか、分かるけど、じゃあ言う通りにしたら私は寂しさとか辛さから本当に逃れて幸せになれるって言えますか。絶対に言えますか。保証も出来ないくせに私にばっかり決断させようとしないでよ。なんでまた私が決めなきゃなんだよ。決めるのだって辛いんだよ。寂しさの穴埋めも出来ないくせに近寄るな。うんざりだ。

 そうだよ私は今寂しいんだよ。だから泣いてるし痛いし辛い。安らげる場所なんてどこにもない。誰も相手にしてくれない。私よりはるかにろくでもない人間がすんなり結婚していくのに、なんで私はひとりぼっちなんだ。ずっと辛いことばっかりでもう嫌だ。

 死ぬなら今だって思う。でも30歳までは死なないって決めたからまだ死なない。100万円貯めるまでは死なないって決めた。だから気休めに漢方薬をがぶがぶ飲んで、なんともない顔して仕事に行くし、褒められたら「ありがとうございます」ってにこにこする。雑談もする。ぶっ殺したい人間を殺すこともなく、虫も殺さぬような顔で暮らして、晩御飯のメインを考えてスーパーで買い物する。何もかも憎いし壊したいけれど、まるで博愛主義者みたいに振る舞う。

 でも、ちょっとこの日記もお休みしようかな。書いたことにいちいち反応されるの、今はすごくめんどくさいしだるいしうざいしむかつく。相手が誰であってもそう。

 しばらく人間と関わりたくありません。