第42話:残り132日

 朝、美容院に髪を切りに行ったら、いつもと違う美容師さんだった。髪は思うように切ってもらえなくて、挙句最後には勝手に(本当に勝手に)外ハネにセットされて、ムカムカしたけど言えずに帰ってきてしまった。「元の形を活かしました」と言うけれど、私は外ハネが嫌いだ。なんで「セットはどうしますか」と、一言聞いてくれなかったんだろう。勝手にジャッジされたのがすごく嫌だ。私は怒りの瞬発力があんまりないから、今になってふつふつと嫌な気持ちになってきた。最悪だ。あの人にはもう二度と切ってもらわない。

 仕事が尋常じゃない忙しさだ。身体は辛いけれど、ある程度の忙しさは覚悟していたのでメンタルはまだましである。それに、以前幼馴染にも言われたけれど、私は忙しい方が全部うまく回り出すようで、日々、お弁当も作って水筒も持って行き、ゴミも出し、洗濯や掃除も滞りなく進んでいる。

 私はこの街が嫌いだから、必ずここを出て幸せに暮らすつもりでいるし、そうでない未来があるわけ無いと思ってもいる。だから、言ってしまえば、職場の人とは深い関係を築く必要がない。気楽だ。ほどほどに働いて、ほどほどに人望を集め、いざチャンスが来たら必ず物に出来るよう、やるべきことを淡々と粛々と進めるだけである。

 だから、美容師さんにわざわざ「どうして勝手にこんな風にしたんですか」と言う気持ちもない。お客さんの気分を害していることに気づいて、接客を改めてもらおうとも思わない。だって、別にどうでもいいもの。この街の人がどうあろうと、私には関係ないことなので。私と交錯しなければ構わない話なので。

 今は生活と仕事で手一杯だけれど、どうにかこうにか勉強の時間を捻出したいな。8月の課題はこの辺りです。