第61話:残り62日

 ずっと、ずっと冬の夜の室内で、ぼんやりした明かりでまどろんで、いい匂いを嗅いで、本を読んで、静かな音楽を聴いて、そんな時間が1週間くらい続いてくれたらいいのになと思う。仕事にも行かず、たまに窓を開けて新鮮な空気を取り込み、あとはずっと幸福の中。太陽なんて出なければ日常生活を送らなくて済むのに。憎らしいほど規則正しく時間は過ぎる。

 

 最近欲しい物が出来た。部屋を区切るパーテーション。ポストカードを飾る額。文箱。濃い色をした木のスツール。シーリングスタンプ。こうして見ると部屋で心地よく過ごすための道具たちばかり。今は外に出る元気を貯める時期なんだと思う。

 

 そんな感じ。