第7話:残り175日

 昨日書いた日記を友達が読んで、感想を送ってくれた。まあ、「せっかく書いたのに誰にも読まれず、あちらの家の狂気が誰にも知られずネットの海に沈澱していくのはなんか癪だな」と2人の友人にURLを送りつけたのは私なので、半ば強制的に読ませた感じなんだけど、なんにせよ読んでくれたのは本当にありがたい。

 送ってくれた感想の詳細はここには書かない。でも、私はそれを読んで、電車の中で人目も憚らずぼろぼろに泣いた。嬉しかった。辛かったこと、怒ったことを一緒に怒ってくれて、私の生き方を肯定してもらえたような気がしてすごく救われた。

 楽しいことの余韻がいつもより短かったりご飯が美味しくなかったりするのは、目の前の状況を把握しながらも常に辛い記憶や言葉が反芻されていたからだ。パソコンでYouTubeを2つ開いて、片方で好きな音楽を流し、同じ音量で、もう片方ではなんだかものすごく嫌なホラー映画が再生されているのを想像して欲しい。怖いし、イライラするし、好きな音楽に集中するのは無理だろう。

 友達が送ってくれた感想は、その煩わしい二画面目の音声を、聞こえるか聞こえないかの音量まで下げてくれたのだと思う。聞きたくない音はまだちらっと聞こえるし、再生自体も止まってはいないけれど、もう片方の画面から出ている音量の方が大きいから、嫌な音はほとんど気にしないでいられる。

 今日は朝からゼルダをやった。部屋の掃除と片付けもして、親への贈り物を注文して、本棚を整理して、念願だったKINTOのカップで好きなお茶を飲んだ。1ヶ月半ぶりに炊飯器でご飯を炊いた。ゲームは楽しいし、お茶はお茶の味がする。カップはまるまると好きな形をしていて、この間買った木製のおぼんや家にあるコースターとも相性がいい。梅雨が明けたら暑くなるから、冷茶用にボルミオリ・ロッコのボデガも揃えたいなと思う。大きさは200ミリがちょうどいいかな、などあれこれ考える。苦しくて泣き出しそうになることも、泣くこともなかった。

 あちらのご家族や元婚約者から向けられた呪いの言葉に対抗できる、お守り、盾、剣にもなる言葉を友達がくれた。それを手にした今日の私は、昨日の私より少し無敵だ。